染めない生活

52歳で毛染めを止めました。

「食堂かたつむり」

食堂かたつむり」(小川糸 ポプラ文庫)という小説を読みました。

久々にお話の世界に浸る楽しみを味わえました。

 

全てを失い、そのショックから自分の声までも失った女性が、ふるさとに帰り、小さな食堂を始め、少しづつ再生していく話です。

 

初っ端から怒り

 

同棲していたインド人の恋人が、一切合財の家財道具と共に姿を消すところから話は始まります。

 

こういう展開は相手が日本人でもあることなんでしょうが、恋人がインド人であることで、最低のクズ男というだけでなく別の事情もあるのか?と思ってしまいました。

 

主人公は料理が好きで、いずれ飲食店を開きたいと考えている人なので、台所道具は多少高くても長く使えるものを選んで揃えていたのです。

 

亡き祖母から譲り受けたすり鉢、ヒノキのおひつ。ル・クルーゼのホーロー鍋、京都の箸専門店で見つけた盛り付け箸、二十歳のお祝いにもらったイタリア製のペティナイフ、麻のエプロン、茄子の砂利漬けを作るのに欠かせない玉砂利、南部鉄のフランパン。

 

おまけに祖母と二人で漬け込んだ梅干しまで瓶ごと消えていたのです。

 

いやほんとに最低の男です。

この男に対する怒りが読み終わるまでくすぶっていたのは、お金とか服とかじゃなく、日々使う台所道具だったからかも。

それほど料理に思い入れのない私でも、「これを持って行かれたら辛いだろうな」と思いましたよ。

 

唯一残ったぬか漬けの壺(温度と湿度がいいのでガスメーターの入っているスペースに置いていた)を抱えて、主人公はふるさとに帰ります。

 

ちょっと変わった食堂

 

近所に住む熊さんというオジサンの手を借りながら、手作りで完成させた「食堂かたつむり」。

受け入れるお客は1日1組だけ。

前日までにお客とやり取りして何が食べたいかなどの調査をし、メニューを考える。

 

到底自分ではやってみたいとも、行ってみたいとも思わない店だけれど、自分の店を持ちたいと考えている、料理好きな人にとっては魅力的なんでしょうか。

確かに、こういう店で提供される料理を、ちょっと食べてみたい気はしますね。

 

ちょっと古い情報ですが、作者の小川糸さんは2018年にやりたいこととして、庭造りを挙げていました。

リンゴ、梨、柚子、梅など実のなる木を育てたいとか。

ご本人もお料理が得意なんでしょうかね。