染めない生活

52歳で毛染めを止めました。

和食器とコーヒー豆の店「小蔵屋」

「紅雲町 珈琲屋こよみ」シリーズの「まひるまの星」(吉永南央 文春文庫)が文庫になったので買いました。

文庫では「萩を揺らす雨」「その日まで」「名もなき花の」「糸切り」が出ていて、これが5冊目。

大好きというわけではないのですが、店先で見かけるとつい買ってしまうシリーズです。

 

舞台は観音像の足元に広がるまち、紅雲町。

両親が営んできた雑貨屋を、60代半ばでコーヒー豆と和食器を扱う古民家風の店に変えたのが主人公のお草(そう)さんです。

70を超えているのに毎日しゃきっと着物を着て店に立ち、身の回りで起きる出来事を解決するという、ミステリー風味の小説です。

 

登場人物

 

主人公のお草さんは穏やかだけどしっかりした女性。つい愚痴や相談事を話してしまいたくなるような人です。

一緒に店で働く従業員の久美は元スキー選手の20代女性。愛車のパジェロを乗り回す、活発な人です。こういう人がいるからこそ、高齢女性が持ち重りする食器を扱う店ができるんだなと思わされます。

幼馴染の由紀乃は、脳梗塞のせいで左半身にまひが残る体になってしまったけれど、常に草の話を聞いてくれる、良き友達。

そのほか運送屋の寺田など、シリーズを通して登場する人たちがいます。

 

女性の好きなもの

 

このシリーズには女性の好きそうなものがいろいろ盛り込まれています。

 

今回の本に出てくる和食器は天塩皿。

香の物や醤油を乗せるような小さな皿に、角砂糖やクッキー、イヤリングやエアプランツを乗せることもできる、とお店に展示しています。

 

 

または着物の数々。

草が着ている着物や、亡き母が友人へと残した着物。若い久美に着せようと草が用意した浴衣など。

 

草が作る料理もおいしそうなんですよ。

オクラの煮びたし、高野豆腐の含め煮、蜂蜜と粒マスタードのチキン。

4種類のいなり寿司は、普通のと、白ごまだけ、刻んだ甘酢漬けの生姜、牛肉のしぐれ煮。

 

私はどちらかというと、60代半ばで店を改築して新たなことを始めた草の仕事面のあれこれに興味があります。

小蔵屋のコーヒーの無料試飲が人気なのは頷けます。

カルディでしたっけ、コーヒーを無料で配っているお店が実際にありますものね。

一巻目で、試飲のおかわりをして長時間居座る客が増え、仕方なく「おひとりさま一杯限り」にしたという記述がありましたが、こういう苦労は実際にありそう。

 

60代半ばで始めた小蔵屋の商売も順調で、70すぎても元気に店に立っているお草さんは順風満帆に来た人のように見えます。

が、草は周囲からの反対を押し切って結婚したものの離婚し、婚家に残した幼い一人息子を事故で亡くすという経験を持った人として描かれています。

いろいろあったことも含めて、周りの人を魅了する女性として描かれています。